奇特な世界へようこそ~僕の思考回路~

僕ことURAKIが綴る目眩く思考・嗜好・そして志向の世界へようこそ。貴方にニッチな体験と出会いをお届けする そんな雑記をご賞味下さいm(_ _)m

ドラクエⅢの想い出 ロト紋PTで学んだ魔法使いの魅力

  ドラゴンクエストシリーズのおいて最も人気と知名度が高い作品を1つ挙げろといわれたら、まずまちがいなくコレ それがドラゴンクエストⅢ~そして伝説へ~です。

 1988年にロト三部作の完結編として発売された本作は当時社会現象を巻き起こし空前のブームを引き起こしました。

若い世代の方の中にはピンとこないかもしれませんが、いまのところナンバリング最新作であるⅪもこのⅢをこれでもかというくらいリスペクト&オマージュしているのは記憶に新しいでしょう。そのくらいの作品なのです。

 また、ドラクエなんてやったことないって方やよく知らないんだよねぇなんて方でも、ドラクエといわれてまず思い浮かぶイメージって あのツンツンした髪型に青い玉の入ったサークレットをし、マントを羽織った勇者の姿じゃないでしょうか?

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 もしかすると、紫のターバンを巻いて杖を持った青年の姿を思い浮かべた方もいるかもしませんが・・・ 大抵どちらかでしょう。

 前者がこのドラクエⅢの主人公(勇者)なんです。後者はこちらも人気が高いシリーズ5作目のドラゴンクエストⅤ~天空の花嫁~の主人公ですね。

 まあそのくらい、ドラクエのパブリックイメージになってるのが本作なのです。

 

  

 今回はドラクエ大好きな僕が体験した、このⅢについての想い出を綴っていきたいと思います。

 それを語る上でまず最初に重要なのが、僕が決してリアルタイムでプレイしていないということです。こういうと、なんだか後発の俄かファンがレトロゲーム検証してんじゃねぇのか?と思われるかもしれませんが、誤解無き様に、もちろんファミコン時代に遊び尽した世代ですから、リメイクや後続作品から入ったわけではありません。そこは悪しからず。

 ここでいうリアルタイムというのは、発売当時という意味で捉えてください。1988年の発売当時、僕はまだ6歳でしたから、勿論生存はしていたわけですが、まだドラクエ体験はしていかったわけです。実際、僕のドラクエ体験は小学校1年の時にたまたま親から買い与えられたドラクエⅠがきっかけでしたから その後、すぐにⅣが発売されたので、そちらをプレイしたのがドラクエ初リアルタイム体験だったのでです。

 このドラゴンクエストⅣ~導かれし者たち~をリアルタイムで遊び尽した後、ようやく手にしたのがⅢでした。

 僕が何故こんな事情をわざわざ説明したかには理由があります。それは、リアルタイムで遊んだ世代にはない想い出があるからに他なりません。

 これだけの知名度を人気を持つ本作ですから、その想い出話なんてのはどこかで聞いたこともある方もいらっしゃるのではないかと思うのです。例えば、会社などで現50代以上の方からバブルの頃はな~って延々と過ぎ去りし過去の栄華ぶりを聞かされたことがあるように・・・あれ?ありませんかね 

 しかしながら、もっともプレイ人口が多かったはずのそうしたリアルタイム世代が経験していない出遅れたからこそ体感したブームというのがあったりするわけです。

 

 僕がⅣの後にⅢを始めた頃は、もはや世の中ドラクエブーム真っ最中。その象徴?ともいえたのが現在でも刊行を続ける少年漫画誌少年ガンガンの登場でした。ゲーム会社であるエニックスが書籍に刊行に着手したのも、そもそもドラクエの公式ガイドブック*1に端を発しているのですから、このガンガンでもドラクエネタは目玉展開となっていたのも当然です。以前の記事でも取り上げたドラクエ4コマ漫画劇場然り*2 そんな中の1つにロトの紋章*3という漫画連載があったのです。肩タイトル*4にドラゴンクエスト列伝と銘打ったこの作品はゲームの本家ドラクエをオマージュしなががらも絶妙なパラレルワールド感で?独特な魅力を構築していました。

 具体的には、勇者ロトの子孫であるローラン王国の王子アルスの冒険を描いた作品なのですが、ロトの血を受け継いだ国家、末裔といえば、ゲーム本編でいえばⅡのローレシアの王子にあたるでしょうか しかしまったく繋がりませんw ちゃんとしっかり三つの王家に分かれて受け継がれているところまで同じなんですがねぇ そのうえロト(つまりⅢの勇者)たちによる大魔王ゾーマ戦は(過去の描写として)描かれていますからⅢは史実としてそのままトレースしているようです。このあたりもⅢの人気ぶりを感じさせられますね。

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 さて、そんなロト紋でしたが、連載当時小学生~中学生だった僕たちの世代にはかなり人気があったと記憶しています。御多分に漏れず、ドラクエ好きでロト紋を読んでいた僕もこの作品に夢中になっていたのでした。 

 ときにこの作品で主人公であるアルス王子は、異魔神を倒すために、かつて勇者ロトとともに魔王(ゾーマ)を倒した3人の仲間 ケンオウの子孫を探し仲間にするのですが、

 このケンオウというのが 戦士フォルカス・武闘家フォン・賢者カダル でした。

 そして、ケンオウとは戦士の、武闘家の拳、そして賢者の 即ちそれぞれのケンという掛詞なのはなかなか面白いギミックだなと小学生ながらに感心したものです。 この作品の虜だった僕たちの中で、これを実際の本編で再現したいという発想が生じてもおかしくはなかったのです。

 そう、当時僕たちの間では本編ドラクエⅢをプレイする際に、勇者・戦士・武闘家・遊び人という ロトの紋章を再現した職業編成で組む ロト紋パーティーが流行していたのです。 

 ここで、ん?なんで遊び人?賢者は何処に?と思われた方のために少々回り道してまずは本作のシステムから説明しましょう。

 シリーズ3作目である本作の最大の特徴は職業システムです。アリアハンにあるルイーダの酒場にて登録した仲間を一度に3人までPTに加えて彼らを連れて冒険できるのです。続編であるⅣで予め仲間キャラに名前や職業の設定が施してあるのとは異なり、本作では全て任意でプレイヤーが設定したキャラでPTを組むのです。そのうちルイーダの酒場で登録できる職業は戦士・僧侶・魔法使い・武闘家・商人・遊び人の6職*5であり、これ以外に主人公である勇者と先述した賢者が存在します。

 さらに本作には転職というシステムが存在します。これはシナリオ中盤で訪れるダーマ神殿にてレベル20を超えたキャラを他の職業に転職できるというもの。例えば戦士や武闘家は呪文が使えない職業ですが転職することで呪文をつかえるようになったりと、そんなことができるシステムなのですが、ここで、すいません。 ちょっと話し出すと長くなるので詳細は割愛しますが、実はいま言ったようなこうした運用はほぼ無意味で価値はありません。例えば呪文を使えるが非力な魔法使いや僧侶が、すべて呪文を習得した上で戦士に転職というならまだ意味はありあますが、その場合は戦士に転職することでそれ以上MPが一切成長しないという欠点を抱えます。中途半端な呪文取得途中での転職ならば尚更、目も当てられません。このように面白いシステムであり、一見プレイスタイルの幅を広げたように思えるのですが、じっくりやりこんでいくと一口にそうとはいえないということが分かってくるそんなシステムなのです。むしろ、このシステムの真骨頂は別にあります。それが、賢者の存在です。

 賢者は悟りの書というアイテムを所持していると転職できる云わば隠し職?*6で、そのスペックは僧侶と魔法使いが習得する全ての呪文を扱えるというもの。つまり1人2役ってやつですね 夢のハイブリッド! また後のシリーズでは呪文に特化しているが物理攻守面は苦手という位置づけが多いですが、初登場本作では、それなりに武具も扱えるのでそちらも対応できるまさに万能キャラとして描かれているのも特徴。むしろ、本作での賢者がチート過ぎたが故、その後調整されたというのが正しいのでしょうが まあそんな職業なのですよ。

 話を戻しますが、つまりこの賢者になるために利用しなくてはならないという意味で転職システムが在るといっても過言ではないということです。

 さてさて、こんな賢者ですが、実は有名な裏ワザ(仕様)がありまして、先述の、賢者になるために必要な悟りの書は、本編では基本的には1点しか入手できません。もし2個目が欲しいなら、アカイライという鳥型モンスターからのレアドロップを狙うしかありません。これは激しく効率が悪いし、現実的ではないです。そんな中、実はもうひとつ賢者になれる方法があるのです。

 それが遊び人だけは無条件で賢者になれるというもの 

 なるほど、ただの役立たずでは終わらせない 全職どこかに使い道を・・という意味では納得ですよね??   しかし、なぜ・・・やはり運が異常に良い*7からでしょうか

 

 さて、そんな奇特な?仕様もロト紋が見逃すはずはありません。

 アルスは旅を続けていく中で戦士フォルカスの子孫 キラ(剣王)、武闘家フォンの子孫であるヤオ(拳王)と出会いますがその後、旅を続けていく中で新たに仲間になったのは遊び人のポロンでした。 そう、このポロンこそ賢者カダルの転生した姿であり、賢王なのです。ただ覚醒していないだけで  後に覚醒して大活躍するわけです

 長くなりましたが、これで符号しましたよね。このように、勇者+戦+武+遊(賢)という構成が流行り 僕もそれに倣いプレイしてみたのですが、この構成のままプレイする人間はいつのまに減っていったのでしたそれもそのはず、この構成は色々難ありだったのですから。

 まず、呪文を使えるのが勇者しかいないこと。とくに回復が追いつかない。そもそも遊び人は戦闘で役に立たないのもあり、脳筋*82匹連れて歩いてるようなものだったのですからね。

 それで、さすがに途中から、遊び人の代わりに僧侶を入れたPTが実質幅を利かせたのでした。 この構成については、まあバランスは悪くなく 割と好んで愛用しされた良PTだったのは認めますし、僕自身も当時、Ⅲやるならこれだね!と盲信していたものでした。

 尚、余談ですが、以前の記事でも登場した思い込みの激しい友人は、最初にこの仕様を知ったが故、これが正攻法だと勘違いして、依然遊び人を連れていくのに拘っていましたが・・・*9

 ただ、面白いことに、何度も周回してやりこんでいくうちにふと気付いたんです。

そういや、魔法使いはどうなったんだんだろう

 ルイーダの酒場で話しかけるとお薦めPT構成として、戦士・僧侶・魔法使い構成を助言してくれる人物がいます。さらに公式ガイドや取扱い説明書でもたしかそんな記述があった気もします。

 ただ、最初は眼中になかったのです。初心者向けのアドバイスに対してバカ正直に従うことへのダサさや、敷かれたレールの上を走るよりちょっと冒険してみたいといった気持ちがあったのでしょうね。 そんなこといいながらもちゃっかりロト紋という作品に影響受けてたんですけれど まあそこはご愛嬌

 とにかく、魔法使いなんか要らないよ!っていう思いは少なからず、当時のロト紋PT信者たちが共通して抱えていた認識だったと思います。

 しかし時が経ち、本作を繰り返しプレイして大人になった今ならはっきりと言えます。このドラクエⅢで最も魅力的な職業はズバリこの魔法使いだと

 

 ※ここからは本作における魔法使いという職業についての独断と偏見による持論を綴りますm(__)m

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 そもそも、この職業は初心者にとってはその魅力が伝わりにくいという側面を備えています。その点で確実に損をしているという意味では不遇職といえるかもしれません。

 初心者が魔法使いを嫌厭する理由としてまず、その貧弱さが挙げられます。前衛職ではない魔法使いは当然ながらHPや力の伸びは著しく悪いです。これは職業上の特性でやむを得ないのですが、そこに本作の成長ランダム要素が絡んでくるとこの事実に拍車が掛かるのです。本作のレベルアップによるステータス変化は一定ではありません。毎回ランダムに決定されます。もちろん完全フリーランダムではなくある程度パターンがあるわけですが、その数値の振れ幅が激しいので ときに運が悪ければ極端に成長が貧弱な状態が続くこともしばしば とくにレベル1桁台時の成長率はどうも低めに設定してあるきらいもあり、もしここで伸びなかったとしても成長期と言われるレベル帯(主に20台~?職によりまちまち)にて補完できたりすれば結果オーライにはなるのです。計算上は ただ、初心者が初めて魔法使いを運用し、そのあまりの貧弱さを目にすれば、こいつ大丈夫かよ・・・と本気で不安になり選手交代を早々に決意するのは頷けます。

 そもそも、グラフィック(デザイン画でも)男魔法使いは、高齢の老人ですからね これは次作のブライも然り そのためか女性魔法使いのほうが人気はあったと記憶していますが

 さてさてそんな初心者を困惑させがちな魔法使いですが、実は他職にはない魅力をたくさん備えているのです。

 ①全体攻撃が可能

  脳筋についての注釈でも触れていますが、この当時のRPGでは、特殊攻撃という概念が存在しない作品が多く、本作もまたそんな作品の1つ*10でした。直接攻撃以外の唯一の攻撃方法が呪文だったのです。*11この、呪文を扱える職業というのが本作8職中で主人公である勇者を除けば、僧侶と魔法使い、そしてそのハイブリッド賢者と、たったこれだけしか存在しないのです。その中で、僧侶は回復や補助の呪文をメインで習得していく回復担当的職業、それに対して魔法使いは主に攻撃呪文のエキスパートなのです。呪文が唯一の特殊攻撃とするならば、範囲、全体といった攻撃もまた呪文の専売特許でした。ここまで読んで、武器だって範囲攻撃あるじゃん?鞭系とか 全体ならブーメランあるよね?なんて 疑問が浮かんだ貴方にこそ、この当時のRPGを一度体感して欲しいものです。基本的にそういった仕様は当時は一般的(中にはそんな作品もあったでしょうが)ではなかったのです。物理攻撃はたとえそれが鞭だろが単体と相場が決まっていたそんな時代の話です。ただ、たしかに本作もリメイクでは修正(改正)されている部分ですからリメイク版をプレイした方ならそう思うのかもしれませんが 

 さて、話は逸れましたが、だからこそ呪文を扱えない戦士や武闘家を脳筋と称したのです。そう、単体以外を一気に攻撃できるという時点で、呪文を使えるのいうのはそれだけで、大きなアドバンテージだったのです。

 ご存じの方も多いでしょうが、現在に続くドラクエの呪文系統の基礎を、確立したのは本作です。*12Ⅰから登場してきたギラ系は新たに最上位のベギラゴンを加えて1グループ対象の即ち範囲呪文として生まれ変わりました。またバギも僧侶専用の範囲攻撃呪文となり、その他新たに段階毎に効果範囲の変化する氷系呪文ヒャド系*13も新たに実装されました。 ※また余談ですが、このヒャド系と本作の関係を語るならば有名なヒャダインバグが欠かせないのですが、これだけで一記事綴れてしまうので、またの機会に言及したいと思います。あれ?これ過去の記事でも同じこと言ったなぁ・・・*14

 このように範囲攻撃事体はその数は多い本作ですが、ではその中で敵全体を攻撃する全体攻撃呪文の割合はどんなものだったのか これが、意外と皆さん盲点だったりするのではないでしょうか?

 普段あまりというか意識して考えたことすらないかもしれませんが、実はこれだけ多彩な攻撃呪文にあって、本作で登場する全体攻撃呪文(敵全体を攻撃する唯一の手段)というのはなんとたったの6種類しかないのです。しかもそのうちの4種類は魔法使い(と賢者)しか扱えないのです。

詳説しますと、本作に登場する全体攻撃呪文の系統はイオ系のみ(イオ、イオラ、イオナズン)で、このうち他職で習得可なのはイオラ(勇者)。他は先述のヒャド系の中からヒャダイン そしてこれも魔法使い専用の火竜変化呪文ドラゴラム、そして勇者専用の本作最強攻撃呪文ギガディン この6種になります。

 このように、その過半数を魔法使い(賢者)が一任していること、勇者が扱える2種は何れも終盤に取得する呪文であり、前半から中盤戦はやはり、全体攻撃は魔法使い頼りになること、さらに僧侶に至っては呪文使いでありながら全体攻撃手段を持たない*15ことなどからも この職業がどれだけ全体攻撃において重要な位置づけにあるかがお分かりになったでしょうか。

 

 ②要所の攻略難易度が桁違い

 全体攻撃の話ばかりしてしまいましたが、そもそも範囲攻撃についても、他職の追随を許すことはないのが魔法使いなのです。グループを含む範囲攻撃に的を広げて考えてみた場合においても、例えば僧侶が覚える初のグループ攻撃呪文バギの習得レベルはおよそ12*16に対して魔法使いは早ければ7レベルにてギラを習得できるのです。これは最初の舞台であるアリアハン大陸を攻略するレベル帯に間に合う唯一の範囲呪文といえます。こんな序盤からグループ攻撃ができるのも魔法使いならでは ロマリアに続くいざないの洞窟で、1匹ずつ対処していたらラリホーで眠らされがちなアルミラージの群れや、バブルスライムの大群を毒攻撃を受ける前に一掃できる爽快感は、脳筋PTでは味わえません。 

 また、前半最大の難所?であるイシスのピラミッドでも、到達レベル帯でならベギラマを習得しますから、これがあるだけで、ミイラ男はおろかマミーの群れすら雑魚と化します。とくにこのピラミッドについては如実に恩恵を感じます。これは実際にロト紋PTでプレイして比較したらよくわかるはずです。

 また、バハラタの黒コショウイベントで対峙するカンダタ戦ですが、このカンダタはHPが毎ターン自動回復という裏設定を有しているため*17生半可なダメージの蓄積では自動回復に追いつかれてしまいなかなか倒せないという割と初心者泣かせの難敵ですが、これも同レベル帯なら脳筋職の倍はダメージを叩き出せるこのメラミがあればあっさりと倒せるのです。(ま、効かないこともしばしばありますが)

 尚、上記に挙げた要所はすべて(順序どおり周れば)ダーマ神殿到着前の話ですから、当然 賢者不在。つまり、真に魔法使いのみが成しえる攻略難易度の緩和なのです。

このことからも、とくにマゾヒズム的な拘りがないのなら、積極的に魔法使いをPTに加えた方が快適かつ爽快なプレイを楽しめるのです。

 

③最も有能なメタルハンター

 ドラクエシリーズにおいてレベル上げに欠かせないのがメタル系のスライムモンスターですが、実際にこのメタル狩りが本格化したのは本作からといえます。それは単純に獲得経験値の値が跳ね上がり*18率先して狩る旨みが増したという事実からなのでしょうが、その美味しくなったメタル系スライムを効率よく狩るためにも、この魔法使いほど有能な職業はないのです。

 毒針という武器があります。本作初登場後、後の作品にも頻繁に登場している武器ですが、ここではあくまで本作での毒針について言及します。毒針は特殊な武器で装備すれば攻撃力に関わらず必ずモンスターに1ダメージ与える効果を有します。つまりどんなに硬い奴にも1ダメージ通るというわけです。しかも外れません。ミスしません。

 しかもその真髄効果は1/8の確率で即死させるというもの。これ聞いただけでもうおわかりですね? そう、メタルボディで尚且つHPが低い彼らを仕留めるのにこれほど適した武器はないのです。そして、こんな特殊武器を扱える職業がなんと、この魔法使いのみなのです。 こればかりは、賢者も扱えないのですよ 

 ちなみにこの毒針戦法が真価を発揮するのが、あの悟りの書が在るガルナの塔だというのは何だが皮肉を感じずにはいられません・・・ そうメタルスライムの群生地なのですから。ここで賢者に転職したら、あとはこんな戦法使えませんからね ま魔法使いを賢者にしなけりゃいいわけですが♪

 さらに毒針だけが能ではないのが魔法使い。お得意の呪文の中にもメタル狩りに役立つものが存在するのです。え?基本的にメタル系には呪文効かないのがセオリーでしょ?と思った頭の固いそこの貴方。確かにその通りなんです。ただ頭は使いようでして、メダパニという呪文があります。この呪文、敵単体を混乱させるという効果を持つのですが、これに掛かったモンスターが同時に登場したメタル系モンスターを攻撃してくれればOK! なんとこの際(共食い?)だと何故かその守備力は意味をなさないようで・・・一撃でノックアウトしちゃうんですよ! まあ、なかなか自力では気付けない仕様??ですけれど  それからもう1つは先程、全体攻撃の項目にて挙げさせてもらった数少ない全体術のひとつドラゴラムです。術者自ら巨大な竜に変化してひたすら炎を吐き続けるという風変わりな呪文ですが、その威力は極めて高く、耐性のない敵へならばギガディン級の大ダメージを叩き出せます。ただし詠唱に1ターンを要するのが難点。こんなドラゴラムが、本作ではこれまたメタルボディを貫通してしまうのです。

ただし、耐性があるのか通常の約半分ほどのダメージしか通りませんが、それでも一撃確実なわけで しかも全体攻撃ですからね まさに本作最強のメタルキラーでしょう。 欠点は詠唱に1ターン掛かってる間にすたこら逃げられやすいという点ですが・・・

 あとは、今作に限らず一か八かの大勝負 ギャンブル好きならばパルプンテでメタル一掃できる効果(本作ならば敵全体が砕け散る)を狙うのもありでしょう。 そう、今作でのパルプンテの使い手もまた魔法使いなのですから。

 ちなみに、魔法使い(呪文は賢者も)以外の職業でメタル系に有効な手段を持つのは、武闘家くらいでしょうか。武闘家はレベルの上昇に伴い会心の一撃を繰り出しやすくなる特性があるため、他職よりはその一撃必殺を狙いやすくはあります。無論、魔法使いの多彩なメタルハンターぶりには叶わないわけですけどね 

 

④その他魅力あれこれ

 魔法使いといえば、攻撃呪文のイメージですが、実は補助も侮れないのです。先述のメダパニもそうですが、なかなか強力な補助呪文が揃ってます。例えば月並みながらバイキルト。攻撃力2倍は単純に与ダメージを視て爽快ですしね 脳筋職だけでは、いくら鍛えても実現できないダメージをサポートするあたりがニクいじゃないですか。 

 あと守備力強化のスカラ系が魔法使い専用呪文なのも見逃せないところ 後シリーズでは逆転(僧侶系がスカラ、魔法使い系がルカ二という区分)していくわけですので、本作の個性ともいえますが、バイキルトも合わせて、ともかく攻撃だけでなく味方強化のエキスパート そんな存在なのですね。

 

 さて、如何でしたでしょうか。こんな他職にはない魅力をたっぷり秘めた魔法使いについて考察してきましたが、正直、賢者ではダメなの?と思われた方もいるでしょう。

 賢者では備えていない毒針を扱えるという技能や、賢者参戦前のシナリオでの活躍の可能性については 詳述したとおり間違いなく魔法使いのみの価値なんです。

 ただ、確かにそれ以外は確かに賢者でも代用が利くといえばそれまでなのかもしれません。

むしろ僧侶の呪文まで使えますしね。装備も充実してるし・・・

 それでも僕僕が敢えて賢者ではなく、魔法使いを推す理由があるとすれば、それはつまらないからなのかもしれません。賢者至上主義の皆様には申し訳ないですが、賢者って万能過ぎるんですよ。そう、万能というのはなんでもこなすことができるわけですが1ターンに選べる行動は1つだけ 例えば、ロト紋PTみたいに脳筋2匹と勇者 賢者という構成の場合、必然的に回復役に回ることが多くなれば、結局 魔法使いの呪文を多用するような戦い方にはならないんですよね そう、ひねくれた見方かもしれませんが、純粋に魔法使いの戦い方を楽しむのはやはり魔法使いでないと出来ないと思うのです。最も、本作のゲーム難易度からいっても、正直な話、賢者などいなくても十分にクリア可能なんですから むしろ賢者が1人PTにいるだけでかなりヌルいくらいというのが僕の感想なので そりゃRPG初心者やそういうプレイが好きな方には最高なんでしょうが どうも僕はこの魔法使いの魅力に気付いてからは、転職せず賢者なしでクリアすることにしています。

 難易度の問題でいえば、賢者の登場しない序盤から中盤が戦力不足で苦しいのが本作だと思っていますからね。その序盤の難易度を緩和する存在としての魔法使いの役割と、後半、別にどうしても必要なわけではないバランスの上にとりあえず実装配備された賢者という存在とでは その価値は別次元だと思うのです。(ただし、当たり前ですがPTに僧侶(回復役)がいる前提ですよ) その意味で 公式がお薦めする 勇者 戦士 僧侶 そして魔法使いというBetterな構成は実は一番 本作を愉しめるのではないかなとこの歳になって思っているのです。

 さて、うっかり書き忘れていましたが、実は毒針意外にも魔法使いにしか扱えない代物が存在するのです。それは水の羽衣。前作Ⅱでは最強装備だったこの羽衣が、今回は魔法使い専用(しかも何故か店売り)として登場しているのです。本作での羽衣の性能は守備力こそそこそこですが*19その白眉は、ブレス系ダメージの軽減効果があることなんです。とくに吹雪系をダメージ軽減防具はこれを除くと勇者専用装備である光の鎧の1点のみとなり、つまり勇者以外でこの耐性を身に着けられるのは魔法使いのみという妙なのです。ちなみに吹雪はラスボスゾーマの十八番ですからラスボス戦で強いとか これは制作サイドももしやこの職業を単なる賢者の前座的なポジションで終わらせたくなかった意図の顕れなのでは?と思わず推察せずにはいられないのです。それも、また魅力ですよね? しかし、水の羽衣・・・どうやらシースルーのようですが 果たしてこれを爺が羽生うのか・・・と想像すると やはり魔法使いは♀に限るなぁ と 好からぬことが頭を過るのでした。

 

 

*1:FC時代の三作品の公式ガイドブックはエニックスが書籍出版進出した1988念に発売されている為、ⅠとⅡに関してはリアルタイムではなくⅢのものと同時刊行された。3冊並べると表紙にロトの剣が描かれる遊び心は◎

*2:気になった方はこちらも是非

www.livingdaylights.work

 

*3:2004年からヤングガンガンで連載されたロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ~ではなく、一作目のほうほうなので悪しからず。

 

 

*4:この言葉について知りたい方はこちら過去記事を参照

www.livingdaylights.work

 

*5:96年に発売されたSFC版リメイクでは盗賊が追加されているが、あくまで今回はオリジナルについての話

*6:おそらく当初はそんな扱いだったと思うのだが?結局、周知になったので上級職扱いが吉なのか

*7:遊び人の運の良さの上昇率はダントツ。しかし本作の運のよさの役割は、敵からの状態異常系呪文に掛かりにくくなるというもの。賢者に成れる為の運ではないはず??

*8:呪文が使えないキャラを指す。とくにこの当時のRPGは呪文(魔法)が唯一の特殊攻撃であり、呪文を使えない=ただひたすら敵を殴るした脳がないということになるのは明白だった。尚、ドラクエでもっとも有名な脳筋はやはりⅡのローレシアの王子か

*9:そんな友人のおマヌケ談を語っている過去記事がこちら

 

www.livingdaylights.work

 

*10:ドラクエで特技システムが採用されたのはⅤから。但しこれも仲間モンスターに限られた上にかなり限定的なものしかない。(ブレスや雄叫び等)よって、本格的な特技システムの確立はⅥまで待たねばならなかった。

*11:もしくは使用時に呪文効果を発揮する一部の武器

*12:例えば前作Ⅱではザラキやイオナズンは存在したが、ザキも、イオ、イオラも存在しない。本作から系統が明確に細分化された。唯一Ⅰから存在したのはホイミとギラの2系統のみ

*13:最初級のヒャドは単体、ヒャダルコはグループ、ヒャダインが全体、そして最上位のマヒャドがグループ攻撃と範囲にバリエーションがある。

*14:そんなデジャブの元はこちら 興味ある方是非

 

www.livingdaylights.work

  

*15:自己犠牲のメガンテはカウントしてません。悪しからず

*16:先述のように、本作の成長はランダム要素が絡む為、呪文習得レベルも幅がある。公式ガイド記載レベルは目安

*17:当時は公表されていなかった裏設定だが、それでも体感で1ターンの与ダメージが低すぎるとなかなか倒せないという認識はあった

*18:参考までにはぐれメタルに関していえば前作Ⅱ(もちろんFC版)の約10倍(10050)となり、以後シリーズの基準となった

*19:それでも魔法使いの装備品では最高値