世の中には様々な作品やモノが溢れています。資本主義社会は競争の世界ですから、ライバルを出し抜くため、生き残るためにはより素晴らしいモノを生み出さなくてはなりません。
まさに血を吐きながら続ける悲しいマラソン*1なのです。
そんな時代に生まれた誰もが認める数々の名作と呼ばれる作品たちは一体どのようにして生まれたのでしょう 今回はそれについて、普段から僕が思っていることを綴っていきたいと思います。
さて、毎度ゲームの話になりすみませんが、僕がこの問題について考え出すきっかけを作ったのは1本のファミコンソフトでした。
1989年にナムコから発売されたクインティというゲームです。おそらくはじめて聞いたという方も多いでしょうが、それもそのはずこのゲーム 発売元ナムコを謳ってはいますが、制作自体はゲーム系同人サークルとナムコの下請け会社の共同開発で、こうした開発作品はファミコンどころか当時庭用ゲームで初の試みだった そんな作品です。
一応発売当時はそうした事情通やマニアを中心に話題となり売れ行きは好調だったようです。
そのおかげで僕のようなこのゲームを知らない人間にもプレイする機会があったわけです。近所の女の子の家に遊びにいったらこのソフトがあったのです。
決して子供にとってはメジャーではないそんな作品ですから逆になんだこのゲーム?知らないなぁ って好奇心程度で遊び始めたのですが、もうご想像のとおり これが意外にも面白かったのですよ!
ルールは至ってシンプル 画面所狭しと並べつくされたパネルの上を歩きながら、それをひっくり返して敵を壁に押し当てて破裂?させるだけ そのステージ内の敵すべて破裂させたらクリア これを繰り返していくのです。
ただ、このシンプルさが逆に新鮮だったのです。89年にもなればファミコンソフトもだいぶ小慣れてきて、より複雑なほうがウこうしたケるだろうとメーカー側も(おそらく)考えていた時代 実際にこうしたシンプルなゲームは少なくなってきていたと思います。 とくに僕ら世代は最初からこうした小慣れはたソフトから入った口ですから、そのシンプルさに余計惹かれたのかもしれませんが
しかも、シンプルなだけでなく、キャラは個性的で、とくに各敵キャラの愛くるしくも意地悪な動きに悩まされたり、単純操作が基本ゆえに難易度が高いステージも存在したりと なかなかに僕たちを魅了してくれたのでした。結局 長期間借りて堪能してましたね 自分の物のようにw だから思い入れがあるんですよね
さて時は流れて社会人に成り立ての頃だったと思います。ある時、何気にネットサーフィンをしているとポケモンの話題を見つけたのです。ポケモン・・・もう説明不要ですよね 国民的RPGですから ポケモンことポケットモンスターが最初に発売されたのが1996年なのですが、当時中学生だった僕はなんと、これを子供だましのゲームだと勝手に判断して結局手をつけなかったんですよ。それが今や国民的人気作になっているのですからね 先見の明はなかったようです。ちなみに今でもポケモンは一切未プレイで本当に詳しくないのですが だったら何故ポケモンの記事に喰い付いたんだ?って思うでしょうね そう、僕も別にポケモンだから気になったわけではないのです。ポケモンの開発経緯について書かれていて、その内容に興味を持ったのでした。
なんと、そこにあのクインティの名前があったのですから! 久々に思い出しましたよ
まさか10余年ぶりにクィンティの名を視ることになるなんてちょっと驚きでした。
まあそのくらい(少なくとも)僕の周囲においては知名度が低かったという話なのですがね
なんだか久々に別れた恋人と再会した気分とでもいいましょうか とにかく懐かしくて記事に見入ってしまったのです。
読んでいくうちにわかったのですが、どうやらクインティを開発したゲーム同人サークル(のちに会社化)の代表の田尻智さんという方が、ポケモンの開発にも携わっていたのでした。なるほど、あんな個性的なゲームを生み出した人間が今度は後の国民的RPGを開発していたなんて そう感心したものです。
しかし、白眉はその後やってきました 続きを読み進めると、記載してあった其れは、何とポケモンのアイディアの元ネタというのがウルトラセブンだったということ
僭越ながら、世代でもないのにウルトラシリーズマニアの僕はここですぐに理解しましたよ。 そう、カプセル怪獣なんですね! ご存じない方のためにサクッと説明しますと、カプセル怪獣というのはウルトラセブン=モロボシ・ダンが何らかの事情でセブンに変身できない状況に陥ったとき((主に変身用アイテムであるウルトラ・アイを盗まれたり、周りに人間が居た場合など(正体を知られてはならない)))に携帯している3種類のカプセルを投げると中から怪獣が現れてセブンのここに脚注を書きます代わりに宇宙人やその尖兵怪獣と戦ってくれるのです。
まさにポケモンを想起させますよね よくよく考えれば田尻さん、年代的に言えば昭和ウルトラ世代ですものね
子供の頃に受けた影響が、こんな形で昇華されるなんて凄い話だなぁと感心したのと同時に、同じウルトラ好きとして素直に共感できたというか これも感動ってやつでしょうか ちなみにポケモンの主人公の名前も氏がモデルのようですね(智=サトシ)
さて、偶然にも、こんな薀蓄を知ってしまって以来、思う事があり色々僕なりに調べてみた結果 導きだした持論があります。
それは、名作を生み出すためには違う畑(ジャンル)にも興味をもっていると良いということ
田尻さんの例では、ゲームを開発するための大元のアイディアが全く畑違いな特撮というジャンルから想起されたものでした。
このように、本当に素晴らしいアイディアというのは時にジャンルを超えて舞い降りるのではないでしょうか
よく、狭い見識に捉われるなとか、もっと全体を視ろ!みたいなことが言われますが、これって案外正論なのではないかと思えたのです。
あの新世紀エヴァンゲリオンもまた同じく特撮の影響を受けているようですね。
これは、有名な話ですが庵野監督が帰ってきたウルトラマンがお好きのようで随所にそのオマージュが散見しており(わかる人にはわかる)また、エヴァ初号機のあの独特なファイティングポーズはまさに初代ウルトラマンのあの構えを彷彿させます。
さらにいうと、これは元々薀蓄として抱えていたのでこの話と結びついたのですが、そもそもウルトラマンのあの猫背な独特のファイティングポーズはというと、これが何とプロレスを模倣したものなんですね。これには理由があり、当時はまだ特撮において殺陣というものが定着していなかった上、巨大なヒーローがどう動くかという構想がまだ未知だった。そのため当時子供たちにも人気を博していたプロレスの動きを採用したということなんですよね
とまあ、このようにプロレス→特撮→アニメ と違うジャンルが絡み合った結果 生まれるものがあるのは、やはり感慨深いと思いませんか?
もちろん、同ジャンルをオマージュすることを否定しているわけではありません。それもそれで良いと思います。ただ、僕が言いたいのは枠に捉われない発想からこそ生まれる作品があるのだということです。
最後になりますが、今回挙げた両氏に関してそのアイディアルーツとなった特撮というのは子供の頃に好きで夢中になったものだったという共通事項が挙げられます。三つ子の魂~ではないですが、こうした原体験的な出会いもアィディアの源になるのだなと
今回この記事を綴りながら新たにまたそんなことを思うのでした。日々是発見ですね。
*1:ウルトラセブン第26話「超兵器R1号」での主人公モロボシ・ダンの台詞。星間戦争により終わりなき兵器開発を強いられた現状を皮肉った名言