奇特な世界へようこそ~僕の思考回路~

僕ことURAKIが綴る目眩く思考・嗜好・そして志向の世界へようこそ。貴方にニッチな体験と出会いをお届けする そんな雑記をご賞味下さいm(_ _)m

「タイトル」を堪能してみよう~肩タイトルは伊達じゃない!~

 随分 、前の話ですが何かのネットニュースからリンクした記事で「非常に惜しかった落選者たち」みたいな感じで、ひたすら過去の選挙の投票結果のうち、ぎりぎり当選できなかった票の人物を列挙していくという 一見誰得なんだろう的なものを見かけたことがあります。

 しかし、こうした場(ブログ、記事を書く)においては「自分が世の中に伝えたいこと、知ってほしいこと」を綴っていくことは大きな目的の一つだと考えたなら、たとえそれがニッチな内容だろうとも、それは当人にとってはとても重要で充実した行為なのでしょう。

 そう、いま改めて思いつつ、今回は僕も分かる人には分かるけれど・・・的なニッチな話題をお届けしたいと思います。 え?何を今さら 毎回ニッチだって?

 それは言わないお約束(-_-)  

 

 突然ですが、皆さんは「エヴァンゲリオン」はご存じでしょう。その内容はともかくとして、「名前」くらいは聞いたことあるんじゃないでしょうか

 1995年に放映されたガイナックス*1のアニメで、人気声優の起用で話題を呼び、その後、その独特な世界観とストーリー、異色の兵器?(人造人間)そしてキャラの魅力等で90年代後半アニメブームの雄だったあの作品です。*2

 今でも根強い人気を誇りその知名度も抜群、、、のはずなのですが さて、ここで問いたいと思います。

 「この作品の正式タイトルを言ってみてください」

 

 え?何を言ってるのだこいつは 新世紀エヴァンゲリオンに決まってるだろう。

と、すんなり答えられた貴方は、恐らく今回の記事に共感納得していただけるでしょう。

 このように何の躊躇もなく自然にタイトルがポンと出てきた方にはちょっと理解不能かもしれませんが、世の中には「それ」が記憶として認識されない人がかなり存在すると感じています。(あくまで経験上の話ですが)

 勿論「それ」とは、この場合「新世紀」です。  

 この「新世紀」に当たる部分は、俗に肩タイトル」(ショルダータイトル)等と云われ、アニメや特撮を中心に世の中の様々な作品で多用されています。

 上記の例では、答えられなかった人でも「機動戦士」ガンダムなら、なんとなく記憶に上ったのではないかと思いますが、如何でしょうね・・・

 まあ、何れにせよ「興味のない人にとってはどうでもいい」しかし、逆に「それがあってこそ作品タイトルが締る」と考えるような正に僕のような人間も存在するわけで、そうしたニーズが一定以上(実際かなり多いのでしょうね)だからこそ、愛され多用され続けているこの「肩タイトル」の魅力について、今回はお話していきたいと思います。

 

 これも、まぁ皆さんご存知国民的?アニメであるクレヨンしんちゃん

その劇中で、しんのすけが夢中になる「カンタムロボ」なるアニメがありますね            

 あれは、勿論明らかに「機動戦士ガンダム」のパロディなわけですが、この劇中アニメにすら実は肩タイトルがついていることはあまり知られていないのではないでしょうか

 その正式タイトルはズバリ超伝導カンタム・ロボ」だったりします。

 いかがでしょう? あのちっとも冴えないパチモン感溢れるイメージが一気に払拭されるような感覚に見舞われませんか? え? そこまでは感じないって?

 なるほど・・・ たしかに内容は本家(ガンダム)とは違い、どちらかといえば、勧善懲悪のスパロボですからね( 一一) ま、そこはやむを得ないところ

 

 そもそも、余談というか薀蓄になるのですが、こうしたロボットアニメなどの場合、タイトルには「濁音を含む」のが一般的だったりします。

 これは心理効果を狙ったもので、濁音には「強さ」を感じさせる力があると云われているからです。

 「戦闘メカザブングル」「聖戦士ダンバイン」「重戦機エルガイム」「機甲戦記ドラグナー*3「獣神ライガー」ect

 このようにサンライズ*4 の代表的な80sアニメをざっと例に挙げただけでもそれがよく分かると思います。 試しに上記各作品から濁音を抜いてみて下さい。

 「機甲戦記トラクナー」・・・ほら、作品そのものを知らなくても、もう名前だけでなんか弱そうですよね? もう観る前から「大丈夫かよ・・この作品」って逆に心配にすらなるかもしれません。

 さて話を戻しますが、ガンダムのパロディであろうカンタムロボが、濁音を外しているのは、単にパロディだから故に、敢えて暗に弱さを演出しているのではないかな等とふと邪推してみたり・・・実際どうなんでしょうね

 ま、なんにせよ肩タイトルの有無もですが、これもタイトルの大切なイメージ要素ではあるということですね。

 さてさて、ここまで、クレヨンしんちゃんについて話てきましたが、別に僕はこの作品については熱狂的なファンでもマニアでもないので悪しからずです。

 ただ、肩タイトルを考える上での一例として挙げただけなので、、

 どうも、「ドラえもん」や「サザエさん」みたいな明らかに国民的作品などにはあまり探究意欲は湧かないんですよね。 

 あと、意外かもしれませんがジブリ作品なんかも・・・

 そもそもこの番組タイトル(クレしん)自体には肩タイトルついてないですしね。

 ところで、ガンダムだって十分国民的じゃ・・・なんて重箱の隅をつついてみたい貴方、そこは言わないお約束m(__)m 

 ま、でも誰もが内容まで理解してるわけじゃないですからね  

 ドラえもんが未来からきたネコ型ロボットというのは誰もが知るところでしょうが、ガンダムの舞台が「宇宙世紀」だというのは唯ガンダムという名前を知っているだけの人には答えられないでしょう。まぁそういうことで

  

 さて、そろそろお決まりの閑話休題 

 

 ガンダムシリーズでお馴染みの肩タイトルといえば「機動戦士」ですが、実は正直なところ、僕はこの言葉にはあまり魅力を感じません。

 誤解なきように、勿論肩タイトルが在るということ自体は魅力なのです。唯本当にその言葉のチョイスの問題でして、「戦士」とか「勇者」みたいなダイレクトな表現になんだか冷めてしまうのです。

 おいおい、ドラクエ好きなんじゃないの? それなのに勇者ディスるとか意味わかんんないよ 

 僕の過去記事を熱心に読まれている方なら、そんな疑問を抱くかもしれません。

 しかしこれも誤解なきように云いますが、勿論ドラクエはもうライフワークと言っても良いくらい好きな作品です。但しやはり「勇者」(言葉)は好きではありません。このあたりの深層心理については、また別の機会に記事に興してみるつもりですので乞うご期待・・・ということで

 再度話を軌道修正m(__)m 

 

 この「機動戦士」どうにかならんものかねと思っていた頃? それは現れ僕の心を掴み虜にしたのです。

 「新機動戦記ガンダムW」*5 1995年に放映されたTVシリーズです。

 おや、ガンダムなのに肩タイトルが違うって、どういうこと? 

 素直にそんな疑問を持たれた方も多いかと思いますが、それはこの作品の舞台が「宇宙世紀」ではないことに起因します。

 それまでの従来のガンダムシリーズは一貫して「宇宙世紀」という同一時間軸内でのお話として描かれてきました。

 ご存じない方の為にざっくりいうと、地球の人口が増えすぎたために、宇宙に居住空間(コロニー)を建設し、進出した時代という設定です。つまり宇宙に人類が進出したことで年号をそれまでの西暦(Anno Domini)から、宇宙世紀(Universal  Century)に変更したわけです。

 因みに、あまり云われることがないのですが、「では西暦何年の時点で宇宙世紀に移行したのか」という部分が敢えて?明記されていない*6  ところが、ガンダムの設定の白眉ではないかと僕は昔から思っていまして・・・

  例えば、作品の時代設定を西暦で辿れるように明確化してしまうと、それは何れ「現実に追い越されてしまう運命」となります。

 ガンダムに次いで知名度の高いロボットアニメシリーズといえるビックウェスト「マクロス」シリーズでは世界観に基本的に西暦そのものを採用しており、第一作である「超時空要塞マクロス」 (1982年放映)では、2009年が舞台。つまり当時としては30年近い未来だったはずが現在では過去の話になってしまっているわけです。

 また、先程、濁音の件で槍玉にあげた「機甲戦記ドラグナー」(1987年放映)の世界観はちょうど100年後の2087年、地球と月の独立国家であるギガノスとの戦いを描いたものです。これは未だ未来の話ですが何れ過去になるのは変わりません。 

    このように、他作品では西暦軸での未来が採用されることが多く、上記のようにいずれはリアルに追い越されるわけですが、ガンダムの「宇宙世紀」にはその心配がありません。いつまで経っても未来のままなんですよね。なんだか素敵だと思いませんか

 

 さてそんな宇宙世紀軸の中で描かれてきたガンダムシリーズでしたが、このガンダムWで描かれているのは宇宙世紀ではありません。AC(After Colony)という全く独自の世界観を舞台として制作されました。

 つまり、ガンダムという名を冠してはいますが本家「宇宙世紀」とは違うパラレルな世界を描いているわけですから、いってしまえば「暖簾分け」?でしょうか

 それを意識してか、はたまた「それまでの宇宙世紀軸作品との違いを明確化アピール」するためなのか 果たしてこの「新機動戦記」という独自の肩タイトルが生まれたわけです。

 ここまで、ガンダムWについてのみ綴ってきましたが、実はこの宇宙世紀ではないアナザーガンダム史自体は前年即ち1994年放映の「機動武闘伝Gガンダム」が発端だったりします。

 この作品の舞台は未来世紀(Future Century)この世界では4年に1回開催される「ガンダムファイト」というMF*7 による格闘技大会 で優勝した国家が次の大会までの期間、全宇宙の支配権を得ることができます。その大会とその裏に潜む陰謀を巡り話は進んでいくのですが・・・

 この作品の肩タイトルが異色なのは、もう内容を観れば至極当然。当時はストⅡ等の影響で世はまさに格闘(ゲーム)ブーム 

 全国の小学生たちが波動拳を撃てるようにように日々修行に励む姿が目撃されたとかされないとか・・・(-_-)

 まあ、そんな時代背景も相まって作られた作品でしたが、そのインパクトは絶大で、放映当時は賛否両論を巻き起こったのは懐かしい思い出  え? 今でも?('_')

 まあ良くも悪くもこの作品のイメージ定着に肩タイトルが一役買ったであろうことは間違いないのではないでしょうか。

 「機動戦士Gガンダム」では、まったく格闘要素もあの暑苦しさも伝わってきませんからね やはり「機動武闘伝」だからこそしっくりくるのです!

 ちなみに、アナザー旋風を巻き起こしたこの「ガンダム界の異例肩タイトル」は、前述のW、そしてその翌年の「機動新世紀ガンダムX」にて姿を消してしまいます。

 その後、1999年に放映されたターンAガンダムは作品そのものが異例なこともあり肩タイトルがない作品でしたし、2002年、「21世紀初のガンダム」として制作された「機動戦士ガンダムSEED」以降は宇宙世紀軸ではないにも関わらず「機動戦士」 が用いられるようになったのです。

 そのいった経緯もあり、このG、W、Xは俗に「平成三部作」などと呼ばれ他の「機動戦士」作品と別カテで語られる場合も多いのですが、その中でも僕が最も心酔したのは、真っ先に挙げたWでした。

 「新機動戦記」、そう「戦士」ではなく「戦記」なのです。まずそこに惹かれたのです。

戦士という言葉はあくまで単に「戦う者」を意味しますが、ガンダムというのはそもそも「戦争記録群像劇」といった観点でも捉えられるわけで、今作でも、殺人マシンとして育成された5人の少年達*8 がオペーレションメテオというテロ作戦を通じて出会い共に戦っていく中で人間としての感情を取り戻したり、成長していく姿が克明に描かれていて、そんな劇中の主人公たちの姿を記録した作品という意味で「戦記」は正に言い得て妙だと思うのです。

 「新」というのも元来の宇宙世紀作品とは違う新たなテーマの取り組みをアピールしているかのようです。

 本作で特筆すべき内容としてMD*9の存在が挙げられますが、この「人の代わりに戦争してくれる無人兵器」によって齎される「血を流すことなく殺戮破壊を行う」ということと、そのことによる代償 つまり、罪の観念の希薄化など そうしたテーマは本作の真(新)骨頂だと思うからです。

 肩タイトルはそれら総てを物語っているように思えてならないのです。

 

 さて如何でしたでしょうか。今回こんな長尺になってしまいましたが、最後まで閲読していただけた方はきっとニッチなのでしょう。そんな貴方に僕の思う「肩タイトル」の魅力が少しでも伝わったなら嬉しいです。

これを機にニッチなみなさんも肩タイトルに注目して作品を堪能してみてはいかがでしょうか

 それではまた次回 

 

*1:エヴァで有名なアニメ制作会社。OVAトップを狙えなども手掛ける

*2:95年当時、エヴァとガンダムWがアニメ界を変えたなどと言われたくらい、その影響は凄まじかったと記憶。この頃からTVアニメの2クール化が顕著なのはエヴァの影響? ま、いまや深夜1クールが主軸な世の中だが・・

*3:1987年 「機動戦士ガンダムZZ」の後番組として放映された不遇の名?作   この番組の不振により、無敵超人ザンボット3(1977)から続いていたサンライズのテレ朝土曜五時枠が一旦終焉したといわれる (他社作品を挟み、鎧伝サムライトルーパーで復活)   そのせいか否か、当時VHS化もされず、90年代後半にLDBOXが発売されるまで作品に触れる機会が極端に少ない作品だった。この作品についてはまた何れ記事別途記事にてその魅力を語りたいと思案中。 ニッチな感じが僕の心を刺激するそんな機甲戦記  デッドヒートのD兵器LOVE♪

*4:はいご存じガンダムの制作会社 現創通エージェンシーサンライズ

*5:W=ウィング  だぶりゅ✖ GW=ゴールデンウィーク  ガンダムウィング◎

*6:かつては設定されていたこともあったようだが現在公式設定なし

*7:モビルファイター  未来世紀の機動兵器はあくまで格闘マシンだということ

*8:五人全員がそうした教育を施されたわけではない。カトルは自らオペレーションメテオに志願。五飛も自らの正義による

*9:モビルドール 操縦者を必要としない機動兵器。ロームフェラ財団やホワイトファングに運用された。因みに、MOBILEirect Operation Leaded Labor の略であり、決してDOLL=人形の意ではない。勿論それを意識した、ある種ダブルネームといえるのかもしれないが