皆さんは「笑い」について、真面目に考えたことはあるでしょうか。
僕が、おそらく初めてこの「笑う」ということについて、考えさせられたのは
ドラクエⅣのあるエピソードがきっかけだったように思います。
「ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち」は1990年にシリーズ四作目として発売されました。それまでの三作品が、「ロト伝説編」として時系列的に繋がっていたのに対して、初めて全く別世界観の「天空編」の初作となった作品です。※1
ざっくりお話しすると、全五章から成るオムニバス形式で、各章での主人公たちがそれぞれ運命に導かれ、最終章である第五章で勇者に出会い、共に世界を救うという筋書きなのですが、この「勇者」は天空の血※2を引いており、世界を救う目的の為に、世界各地に存在する「天空装備」を集めなければなりません。※3 その内の一つである「天空の兜」は、遥か北西のスタンシアラという島国の王様が所有しているのですが、それを手に入れるためには「王様を笑わせなくてはならない」のです。
正確には「自分を笑わせた者には褒美を出す」というお触れが出ていて、その褒美とというのが「挑戦者の望むもの」ということなので、ここぞとばかり天空の兜を希望し頂いちゃおうぜ!ということなのですが・・・まずスタンシアラについて、とりあえず王様に謁見してみるも「つまらぬ・・・出直してまいれ」等と言われ全く相手にしてもらえません。
因みに、ここでよく
トルネコ※4を先頭にして話しかけたらお得意のつまらないギャグを披露するも華麗にスルーされたんだけど・・
と、いう話をさも懐かしげに語る人を見かけますが、実際はそんなことはなく
誰で話しかけようがテロップは変わりません。王様を目前にして「ふとんがふっとんだ」とか見れませんから
トルネコがギャグキャラ故の誤解なのか、はたまた妄想なのか・・ まあドラクエ4コマ漫画劇場※5 の影響だというのが最も濃厚でしょうが
これもある種の思い出補正※6ってやつですね きっと
さてさて話を戻しますが、このように導かれし者たち一行では、埒が明かない為、歌と踊りの町であるモンバーバラで人気絶頂中の、お笑い芸人パノンに協力を依頼することになるのですが、初めてプレイしたときはそりゃもう「天下のお笑い芸人」ですから
どんなボケをかましてくれるのかと期待に胸膨らませながら、待ちきれずルーラ※7で即行ひとっ跳び
あっという間にたどり着いたスタンシアラ そしてついに王様に話しかけます。
さぁパノン、渾身のギャグを魅せてくれ! トルネコに爪の垢でも煎じてやりたくなるような飛びっきりのギャグを・・・
しかし見事にその期待は裏切られたのです。
パノンは言いました
自分には王様を笑わせることは出来ないと
困惑する一行※8を前にパノンは続けます
しかし、この者(つまり導かれし者たち)なら、世界を救い、「人々が心から笑える日」を取り戻してくれるでしょう・・・ と
結果、王様は「よくぞ、わしの心を見抜いた!」としながら一行に天空の兜を与えるのでした。
もう衝撃でしたね いや「笑激」を受けるつもりが ほんとうに衝撃を受けることになろうとは・・・王様が最初から「それ」を待っていたんだというのも、衝撃でしたし、何より「笑わせず」して「勝った」・・これに尽きますね
そして僕は、ここで初めて笑いというのは何も愉快な一時の感情表現を意味するだけではなく、このような「誰もが安心して不安なく過ごせる社会(世界)」をも表現する力を持っているということを 認識したのでした。パノンがそれを示してくれたのです。
時に小学二年生のお話でした。
これを機に「笑い」という感情に関してその後、持論を構築していくことになるのですが、、、それは次回としましょう。 今回はそんな「笑いを考えるきっかけ」となったエピソードを紹介しました。
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※1 このⅣから始まり次作「ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁」そして「ドラゴンクエストⅥ 幻の大地」と三作に渡り展開されたのが「天空編」だが、「ロト伝説編」と違い、各作品間の結びつきが不明瞭で本編では明確に語られていないのが特徴。時代の流れとしては一応 Ⅵ→Ⅴ→Ⅳと云われる。
※2 天空人という空に住む有翼人が存在する世界。主人公である勇者はその天空人と人間の混血という設定。
※3 物語終盤、天空城へ向かうために登らなければならない「天空への塔」ここに
入るために天空装備一式が必要。
※4 第三章「武器屋トルネコ」の主人公にして導かれし者の一人。職業は「武器屋」だが、位置的には前作Ⅲでいうところの「商人」と「遊び人」を掛持ちさせたと思われるキャラ。遊び人宜しく戦闘中に勝手に遊びを繰り広げることがあり、そのレパートリーの中につまらないダジャレでモンスターを笑わせるというのがある。
その存在感から人気があり、後にスピンオフ作品「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」シリーズも展開。世代によっては、こちらで知った方も多いはず。
何気にドラクエ初のスピンオフだったり。
※5 かつてエニックスが刊行していた複数作家によるゲームパロディのアンソロジー本「4コママンガ劇場」の中でも特に有名だったのがこの「ドラクエネタ」で、もちろんⅣのキャラも登場。その中で各作家の描くトルネコのギャグが印象強かったのはいうまでもなく、世代じゃない方にもお勧めのシリーズ。
ドラクエじゃない4コマ劇場は見たことあるって方も、なんといっても同シリーズの
原点であり看板作品ですから、この機に手にとってみては如何でしょう。
尚、いまでは絶版ですので基本的には中古になりますが 当時のゲーム文化?に
浸ってみるのも良いですよ~
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ちなみに本家?とちがいこちらはまだまだ現役
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※6 過去記事 思い出は美しいからこそ語りたいモノ 参照
※7 説明不要の瞬間移動呪文 だがテレポートってわけではなく空を飛んでいく感じ
このⅣ以降では屋内で使用すると、天井に頭をぶつけるリアクションが実装されており、それも4コマネタの定番であった。懐かしい
※8 実際そんな演出はありません FCですから
あくまでイメージ 悪しからず